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第23回国際墨画会展 受賞作品
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外務大臣賞/ Foreign Minister Award
渡邉由杉
『パーム樹下のオニオオハシ』
この度は、外務大臣賞を受賞させていただきありがとうございます。
今回の画題はクチバシが黄色く体が漆黒のオニオオハシにしました。
カラフルなクチバシとは対照的に体がモノクロで、とても大きいクチバシを支えながらぴょんぴょんと歩く姿がなんとも愛らしくて、動物園に行くたびにいつか描いてみようと写真におさめておりました。
構図は横長、縦長色々試して最終的に縦長にし、2羽を一緒に遊ばせることにし、黄色などで差し色を入れることも考えたのですが、やはりここは墨画らしくモノクロで色味を出すことにして、8段階の墨色を調整しました。
昨年の孔雀作品で筋目描きを取り入れ、描いていてとても面白かったので、今回も、羽、脚、パーム樹の葉や幹はその技法を使いました。
パーム樹の尖った葉は、葉脈の直線がずれないよう、鉛筆型の木炭で1枚1枚下絵を描いてから筆で描いています。
下部の木は新聞紙を切り抜いて、ドーサ液と墨を使いスタンピングし、苔がふわふわと着いている様子を海綿でポンポンとおさえ、上部の木は、蓮筆を使った三墨法で木が木に巻きついている様子を表現し、こちらの苔はたらし込みで表現しました。
オオオニハシのクチバシはムラなく塗りたかったのでドーサを引いてから模様を入れています。
やっと自分の描きたいものが、以前より時間をかけずとも思うように描けるようになってきたと感じています。
この先自分が墨画で何をしていきたいのかをずっと考え続けており、自分自身を表現することになるだろうということはわかっているのですが、それが何なのかがまだよくわからないので、その本質はこの先も掘り下げていきたいと思います。
今回の画題はクチバシが黄色く体が漆黒のオニオオハシにしました。
カラフルなクチバシとは対照的に体がモノクロで、とても大きいクチバシを支えながらぴょんぴょんと歩く姿がなんとも愛らしくて、動物園に行くたびにいつか描いてみようと写真におさめておりました。
構図は横長、縦長色々試して最終的に縦長にし、2羽を一緒に遊ばせることにし、黄色などで差し色を入れることも考えたのですが、やはりここは墨画らしくモノクロで色味を出すことにして、8段階の墨色を調整しました。
昨年の孔雀作品で筋目描きを取り入れ、描いていてとても面白かったので、今回も、羽、脚、パーム樹の葉や幹はその技法を使いました。
パーム樹の尖った葉は、葉脈の直線がずれないよう、鉛筆型の木炭で1枚1枚下絵を描いてから筆で描いています。
下部の木は新聞紙を切り抜いて、ドーサ液と墨を使いスタンピングし、苔がふわふわと着いている様子を海綿でポンポンとおさえ、上部の木は、蓮筆を使った三墨法で木が木に巻きついている様子を表現し、こちらの苔はたらし込みで表現しました。
オオオニハシのクチバシはムラなく塗りたかったのでドーサを引いてから模様を入れています。
やっと自分の描きたいものが、以前より時間をかけずとも思うように描けるようになってきたと感じています。
この先自分が墨画で何をしていきたいのかをずっと考え続けており、自分自身を表現することになるだろうということはわかっているのですが、それが何なのかがまだよくわからないので、その本質はこの先も掘り下げていきたいと思います。
文部科学大臣賞 / MEXT Minister's Award
伊藤順子
『モンゴルの馬』
この度、文部科学大臣賞をいただけたことは、望外の喜びです。
この作品は、趣味の乗馬好きが高じて訪れたモンゴルで見た景色を描いています。視界に人工物が入ることなくどこまでも続く草原と、意外にバリエーションに富んだ地形。そしてそこを自由に移動する動物達。モンゴルの景色を初めて見た私の感動が少しでも伝わればうれしく思います。
この作品では特別な技法を用いた挑戦をしているわけではないので、最も試行錯誤したのは馬の表現と風景のデフォルメ具合でした。最初は馬を線描きで、背景の森と山は山水画の雰囲気で木や岩を細かく描いてみたものの単調になってしまったため、いつもの私らしく要素と手数を減らして勢いでモンゴルの馬と景色の持つ力強さを表現することにしました。しかし愛する馬たちの美しさやモンゴルの雄大な景色を表現することは叶わず、心残りも多いです。今回の受賞を励みにこれからも馬とモンゴルをテーマにした作品は描いていきたいと思っています。
今後もこの賞に恥じない作品が描けるよう、さらなる精進をしていきたいと思います。
この作品は、趣味の乗馬好きが高じて訪れたモンゴルで見た景色を描いています。視界に人工物が入ることなくどこまでも続く草原と、意外にバリエーションに富んだ地形。そしてそこを自由に移動する動物達。モンゴルの景色を初めて見た私の感動が少しでも伝わればうれしく思います。
この作品では特別な技法を用いた挑戦をしているわけではないので、最も試行錯誤したのは馬の表現と風景のデフォルメ具合でした。最初は馬を線描きで、背景の森と山は山水画の雰囲気で木や岩を細かく描いてみたものの単調になってしまったため、いつもの私らしく要素と手数を減らして勢いでモンゴルの馬と景色の持つ力強さを表現することにしました。しかし愛する馬たちの美しさやモンゴルの雄大な景色を表現することは叶わず、心残りも多いです。今回の受賞を励みにこれからも馬とモンゴルをテーマにした作品は描いていきたいと思っています。
今後もこの賞に恥じない作品が描けるよう、さらなる精進をしていきたいと思います。
東京都知事賞 / Tokyo Governor's Award
小清水美千代
『瓢箪に感動』
昨年の夏に出会った、畑のまん中にある瓢箪棚。
青々と繁った葉で作られた日陰の下に、形も大きさも様々な沢山の瓢箪が ぷら〜んぷらんとぶら下がっていました。
《のどかだなぁ。平和とはこういう情景なのかなぁ》と想い、主役である瓢箪を描いてみたくなりました。
表現にこだわったのは、まだ若い実のおだやかな丸みとみずみずしい張り、ゴワゴワ厚みのある元気な葉、そして蔓の面白さです。
当初は実を数多く描いていたのですが、何枚か描く内に厳選してこの作品となりました。
これからも、また、描いてみたい瓢箪達です。
青々と繁った葉で作られた日陰の下に、形も大きさも様々な沢山の瓢箪が ぷら〜んぷらんとぶら下がっていました。
《のどかだなぁ。平和とはこういう情景なのかなぁ》と想い、主役である瓢箪を描いてみたくなりました。
表現にこだわったのは、まだ若い実のおだやかな丸みとみずみずしい張り、ゴワゴワ厚みのある元気な葉、そして蔓の面白さです。
当初は実を数多く描いていたのですが、何枚か描く内に厳選してこの作品となりました。
これからも、また、描いてみたい瓢箪達です。
国際墨画会大賞 / Association Grand Award
中野真紀
『実り』
この度はすばらしい賞に選出いただき、ありがとうございます。
作品は秋をテーマにカラスウリを中心とした構成を考えました。秋枯れの木々に色づいた烏瓜がぶら下がっている様子は目にも鮮やかで、作品にしたら綺麗だろうなと思いました。ついで実をねらう鳥たちも描いてみようと考えましたが、カラスウリは苦みが強く、好む鳥がなかなかいない。しばらく困りましたが、食いしん坊で有名なヒヨドリがカラスウリを食すことを知り、登場してもらうことにしました。
ヒヨドリは日本とその周辺地域に生息し、華やかさこそありませんが昔から日本では身近な鳥です。灰色のヒヨドリ達が赤々と染まったカラスウリのまわりでせわしなく動きまわる様子が、いかにも秋の風情が感じられると、作品のイメージが固まりました。
制作では、全体の構図と鳥の描写に締め切りぎりぎりまで手こずりましたが、最後には秋の雰囲気が伝わる作品ができたかなと思っています。
頂いた賞を励みに、今後も表現力・技術を高めるべく精進してまいります。
作品は秋をテーマにカラスウリを中心とした構成を考えました。秋枯れの木々に色づいた烏瓜がぶら下がっている様子は目にも鮮やかで、作品にしたら綺麗だろうなと思いました。ついで実をねらう鳥たちも描いてみようと考えましたが、カラスウリは苦みが強く、好む鳥がなかなかいない。しばらく困りましたが、食いしん坊で有名なヒヨドリがカラスウリを食すことを知り、登場してもらうことにしました。
ヒヨドリは日本とその周辺地域に生息し、華やかさこそありませんが昔から日本では身近な鳥です。灰色のヒヨドリ達が赤々と染まったカラスウリのまわりでせわしなく動きまわる様子が、いかにも秋の風情が感じられると、作品のイメージが固まりました。
制作では、全体の構図と鳥の描写に締め切りぎりぎりまで手こずりましたが、最後には秋の雰囲気が伝わる作品ができたかなと思っています。
頂いた賞を励みに、今後も表現力・技術を高めるべく精進してまいります。
国際墨画会準大賞 / Association Semi Grand Award
安部彩英
『ローマの夜/月に浮かぶ教会』
「ローマの夜/月空に浮かぶ教会」
Basilica di Santa Maria in Trastevere サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ聖堂
この度は国際墨画会準大賞を頂き、誠に光栄に存じます。
ホームページから会を知り、初めて竹を描く体験に参加したのがちょうどこの時期、10年前です。
区切りの年に、このような大きな賞を頂けて大変うれしく、続けてきた時間を噛みしめています。
20年以上も前になりますがイタリアに住んでいたことから、毎年の出展にて、思い出と共に特徴ある風景を描いてきました。
第23回の題材に選んだのはローマ在住時によく散歩に行った近所の素敵な聖堂です。夜景が美しく、聖堂の広場はとても気持ちよく、人々も笑顔、何よりもこのエリアはピッツァが美味しいことが有名で、その味を思い出しています。再訪したい!
描いた季節は春の朧月夜、人々の雑踏から離れ、雲が流れて月がふと明るくなった静かな空に浮かぶ凛とした建築の美しさを想像して・・・。
歴史あるこの聖堂は改築を重ねながらも時を経て、現在壁画がかなり見えにくくなってきていますが、今回は過去の資料や写真を見つつ自分なりに復元を試みながら描きました。
麻紙に墨、顔彩の紫と青を混ぜ塗り重ねています。白く抜く部分はドーサ液と水の配合によって淡くぼかすところから真っ白に強く抜きたい月までを調整しながら「白抜きグラデーション」に挑戦しました。水多めのドーサ液にすると、線描きの濃墨は割としっかり載り、淡墨や顔彩は優しく弾いてくれて月明りの拡がりやふわっとした光の演出に効果的でした。その後、淡墨を何度も重ね塗り、乾いてからまた重ねる、を繰り返して墨の濃淡による光と夜空のグラデーションも大切に仕上げました。
聖堂と空との境界も分断し過ぎず、聖堂を夜空が穏やかに包む雰囲気を表現できたと思います。
ドーサ液の使い方も色々考えられそうです。これからも自分なりに研究を重ねながら個性のある作品に取り組んでいく所存です。
Basilica di Santa Maria in Trastevere サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ聖堂
この度は国際墨画会準大賞を頂き、誠に光栄に存じます。
ホームページから会を知り、初めて竹を描く体験に参加したのがちょうどこの時期、10年前です。
区切りの年に、このような大きな賞を頂けて大変うれしく、続けてきた時間を噛みしめています。
20年以上も前になりますがイタリアに住んでいたことから、毎年の出展にて、思い出と共に特徴ある風景を描いてきました。
第23回の題材に選んだのはローマ在住時によく散歩に行った近所の素敵な聖堂です。夜景が美しく、聖堂の広場はとても気持ちよく、人々も笑顔、何よりもこのエリアはピッツァが美味しいことが有名で、その味を思い出しています。再訪したい!
描いた季節は春の朧月夜、人々の雑踏から離れ、雲が流れて月がふと明るくなった静かな空に浮かぶ凛とした建築の美しさを想像して・・・。
歴史あるこの聖堂は改築を重ねながらも時を経て、現在壁画がかなり見えにくくなってきていますが、今回は過去の資料や写真を見つつ自分なりに復元を試みながら描きました。
麻紙に墨、顔彩の紫と青を混ぜ塗り重ねています。白く抜く部分はドーサ液と水の配合によって淡くぼかすところから真っ白に強く抜きたい月までを調整しながら「白抜きグラデーション」に挑戦しました。水多めのドーサ液にすると、線描きの濃墨は割としっかり載り、淡墨や顔彩は優しく弾いてくれて月明りの拡がりやふわっとした光の演出に効果的でした。その後、淡墨を何度も重ね塗り、乾いてからまた重ねる、を繰り返して墨の濃淡による光と夜空のグラデーションも大切に仕上げました。
聖堂と空との境界も分断し過ぎず、聖堂を夜空が穏やかに包む雰囲気を表現できたと思います。
ドーサ液の使い方も色々考えられそうです。これからも自分なりに研究を重ねながら個性のある作品に取り組んでいく所存です。
村松美月
『三渓園の梅』
この度は、国際墨画会準大賞を頂き、ありがとうございます。
水墨画の基本は「四君子」ということで、昨年は「竹」、今年は「梅」をテーマに決めました。
梅の写生、芥子園画伝の臨画などをし、どのように描くか模索しました。その中で、老木、枝、花の表現の対比に美しさを感じ、表現したいと思いました。
また表現方法も、今まで没骨法で描く事が多かったのですが、今回は紙や描き方も変えてみました。
これからも、色々な画題や表現方法を勉強し、楽しんで描いていきたいと思います。
水墨画の基本は「四君子」ということで、昨年は「竹」、今年は「梅」をテーマに決めました。
梅の写生、芥子園画伝の臨画などをし、どのように描くか模索しました。その中で、老木、枝、花の表現の対比に美しさを感じ、表現したいと思いました。
また表現方法も、今まで没骨法で描く事が多かったのですが、今回は紙や描き方も変えてみました。
これからも、色々な画題や表現方法を勉強し、楽しんで描いていきたいと思います。